交通事故の積極損害と消極損害とはどういうものなのか

交通事故に遭った場合、被害者にはいろいろな損害が発生します。その損害は、人身損害と物的損害に分けられます。

人身損害は、財産的損害と精神的損害(慰謝料)に分けられ、さらに、財産的損害は、積極損害と消極損害に分かれます。

では、交通事故の積極損害と消極損害とはどういうものなのでしょうか。

積極損害は、治療関係費等のように出費を余儀なくされた損害であり、消極損害は、休業損害、後遺障害逸失利益、死亡逸失利益に大別されます。

以下においては、積極損害と消極損害の内容について、一般的・原則的な例を前提に説明することとします。

なお、下記で示した金額は赤い本によっています。

積極損害

積極損害とは、交通事故によって被害者が出費を余儀なくされた損害です。

下記の費目は、主なものを掲記しています。

治療関係費

治療関係費は、治療費、入院費等であり、必要性・相当性の認められる範囲で実費が損害として認められます。

付添看護費

入通院の付添看護費は、医師の指示、受傷の部位・程度、被害者の年齢等により、付添の必要性があれば、損害として認められ、その基準額は、近親者付添看護の場合、1日当たり、入院付添で6500円、通院付添で3300円となっています。

職業付添人を付した場合は、必要かつ相当な実費が認められます。

将来介護費

被害者に介護を要する後遺障害が残存した場合には、将来介護費が損害として認められ、その基準額は、近親者介護の場合、1日当たり、常時介護を要するときは8000円となっています。

交通費

被害者の入退院や通院に要した交通費は、損害として認められます。

入院雑費

入院雑費は、入院中の日用品雑貨費 、栄養補給費、通信費、文化費等であり、その基準額は、1日当たり、1500円となっています。

葬儀関係費

葬儀関係費は、葬祭費、供養料、墓碑建立費・仏壇費・仏具購入費等であり、その基準額は、150万円となっています。

弁護士費用

弁護士費用は、認容額の10%程度が事故と相当因果関係に立つ損害として認められる傾向にあります。

遅延損害金

不法行為による損害賠償の履行遅滞については、年5%(令和2年4月1日から年3%)の遅延損害金が発生します(民法419条、404条)。

遅延損害金は、不法行為時から当然に遅滞に陥ると解されています。

したがって、被害者は、損害額につき事故日から年5%(令和2年4月1日以降の事故については年3%)の割合による遅延損害金を請求することができます。

消極損害

消極損害とは、交通事故に遭わなければ得ることができたにもかかわらず、事故により得ることができなくなった損害です。

休業損害

休業損害とは、被害者が交通事故による受傷のために休業し、又は十分に就労できなかったために、治癒ないし症状固定までの間に、得ることができたはずの収入を得られなかったことによる損害です。

休業損害は、原則として、「1日当たりの基礎収入×休業期間」で算定されます。

基礎収入

基礎収入は、事故前の収入が基本とされます。

給与所得者は事故前3か月の平均収入(税金控除前)、事業所得者は事故前年の申告所得額、専業の家事従事者(主婦、主夫)は賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金、兼業の家事従事者(主婦、主夫)は現実収入額と女性労働者全年齢平均賃金との高い方が基礎とされます。

休業期間

休業期間は、原則として現実に休業した期間です。

ただし、症状の内容・程度、治療経過等からして就労可能であったと認められる場合は、現実に休業していても休業とは認められない場合があります。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、被害者が交通事故による後遺障害がなければ得られたであろう利益です。症状固定時以降につき認められます。

後遺障害逸失利益は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」で算定されます。

基礎収入

基礎収入は、有職者の場合、事故前に被害者が自己の労働の対価として得ていたものに限られます。実収入額によるのが原則です。

給与所得者は事故前年の実収入額、事業所得者は申告所得額、専業の主婦は全年齢平均賃金、有職の主婦は実収入額が全年齢平均賃金を上回っているときは実収入額により、下回っているときは「専業主婦」に従って処理、幼児・生徒・学生は全年齢平均賃金、高齢者・年金受給者は就労の蓋然性があれば年齢別平均賃金が基礎とされます。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害により労働能力の喪失・減退を来した割合です。

一般的には、後遺障害が自賠法施行令別表第1及び第2のいずれに該当するかを判断し、その後遺障害等級につき労災補償のための通達である労働省労働基準局通牒(昭32.7.2基発551号)に基づいて労働能力喪失率を算定しています。

労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、症状固定時の被害者の年齢から67歳までの期間です。

ただし、未就労者は原則として18歳(大学進学者は卒業時)から67歳まで、高齢者は67歳
までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方とされています。

労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数とは、就労可能年数までの期間の逸失利益から中間利息を控除するものです。

中間利息を控除することによって、将来の逸失利益を現在価格に換算します。

中間利息の控除割合は、令和2年4月1日施行の民法改正により、民事法定利率が年5%の固定制から変動制に変更され、改正民法施行後の事故については、改正民法施行当初は年3%(民法404条2項。

ただし、同条3項により利率は3年ごとに見直されます)が適用されます。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者が交通事故により死亡しなければ得られたであろう利益です。

死亡逸失利益は、「基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」で算定されます。

基礎収入、就労可能期間、中間利息控除

基礎収入や就労可能期間、中間利息控除は、後遺障害逸失利益の場合と同様に考えることができます。

生活費控除率

生活費控除率とは、生きていれば必要であった生活費の支払を死亡により免れることになるため、その分を損益相殺として控除するものです。

生活費控除率は、一家の支柱で被扶養者1人の場合40%・2人以上の場合30%、女性30%、男性50%です(赤い本)。

まとめ

交通事故に遭った場合、財産的損害として、積極損害と消極損害が発生します。

積極損害は費目ごとの損害が、休業損害、後遺障害逸失利益及び死亡逸失利益の消極的損害はその算定の根拠となる基礎収入や後遺障害等級(後遺障害逸失利益の場合)が、それぞれ証拠に基づき立証されなければなりません。

これらの損害の請求をお考えの方は、是非当事務所にご相談ください。

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