むち打ちが後遺障害12級に認定されるケースの特徴は何なのか?

交通事故でむち打ちになり、症状固定時に後遺症が残った場合、その症状が比較的重度のケースでは、自賠法施行令の後遺障害等級表の12級13号(以下、単に「12級13号」といいます)に認定されます。
では、むち打ちが後遺障害12級に認定されるケースの特徴は何なのでしょうか。
その特徴は、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」であることを前提に、12級13号に認定される症状が労災保険の認定基準に拠っていること、12級13号を準用して12級に認定される症状があること、病名によっては12級13号に認定されあるいは認定される可能性があること、ということになります。
以下においては、上記の特徴について、順次、説明することとします。

むち打ち

むち打ちとは、交通事故に遭い、首がむちのようにしなることで起こる頸部外傷の局所症状の総称です。むち打ちは、医学的な傷病名ではないので、外傷性頸部症候群(頸椎捻挫・頸部挫傷)、神経根症(頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性神経根症)、脊髄損傷など医師の専門的診断を受けることが必要とされます(参考:日本整形外科学会HP)。

むち打ちの病名 主な症状
外傷性頸部症候群(頸椎捻挫・頸部挫傷) 頸部痛、頭痛、めまい、手のしびれなど
バレ・リュー症候群 頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、食欲不振、倦怠感、嗅覚異常など
頸椎症性神経根症 腕や手指のしびれや痛み、上肢の筋力低下や感覚の障害など
脊髄損傷 身体の麻痺、知覚障害、歩行障害など
脳脊髄液減少症 頭痛、頸部痛、倦怠感、めまい、吐き気、耳鳴りなど  
頸椎椎間板ヘルニア 首、肩、腕の痛みやしびれ、歩行障害など

むち打ちが後遺障害12級に認定される要件

むち打ちが後遺障害12級に認定されるためには、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」でなければなりません。

そして、自賠責保険の等級認定においても、準拠すべきものとされている労災保険の認定基準では、12級は、「通常の労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの」とされています(なお、下記の「12級13号に認定される症状」については、労災保険の認定基準に拠っています)。また、実務においては、通常、12級の認定は、「他覚的所見により神経系統の障害が証明される」必要があるとされ、敷衍すれば、「自覚症状が、他覚的所見によって、医学的に証明できた場合」と理解されています。

すなわち、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」の認定には、自覚症状(頭痛、痛み、肩こり、しびれ、吐き気、めまい、倦怠感など)が、他覚的所見(X線画像、CT画像、MRI画像などの検査結果や神経学的所見など)によって、客観的に異常所見と確認され、かつその異常が当該交通事故によるものと認められる必要があります。 
このような場合に、自覚症状が、他覚的所見によって、医学的に証明できたといえることになります。

むち打ちが後遺障害12級に認定されるケースの特徴

12級13号に認定される症状

  • ①脊髄損傷については、通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、多少の障害を残す場合。
  • ➁頭痛については、通常の労務に服することはできるが、時には労務に差し支える程度の強い頭痛が起こる場合。
  • ➂めまい及び平衡機能障害については、通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状があり、かつ、眼振(眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすること)その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められる場合。
  • ④受傷部位の疼痛については、通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差支えがある場合。
  • ➄カウザルギー(末梢神経の不完全損傷によって生ずる灼熱痛)については、通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こる場合。
  • ➅反射性交換神経性ジストロフィー(PSD)については、関節拘縮(関節が固くなって思うように動かせない状態のこと)、骨の委縮、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の委縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められ、通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こる場合。

12級13号を準用して12級に認定される症状

  • ①耳鳴りに係る検査(ピッチ・マッチ検査及びラウドネス・バランス検査をいいます)によって難聴に伴い著しい耳鳴り(耳鳴りに係る検査により耳鳴りが存在すると医学的に評価できる場合には、「著しい耳鳴り」があるものとして取り扱われます)が常時あると評価できるものについては、12級13号を準用して12級に認定されます。
  • ➁嗅覚脱失(嗅覚の完全消失)については、12級13号を準用して12級に認定されます。

病名と12級13号認定(あるいはその可能性)の関係

  • ①外傷性頸部症候群(頸椎捻挫・頸部挫傷)は、むち打ちの7割強を占めているといわれますが、画像所見が認められないため、12級13号に認定される可能性はほとんどないとされます。
  • ➁バレ・リュー症候群は、他覚的所見が認められないため、12級13号に認定される可能性は少ないものの、耳鳴りについては、事故態様が軽微でないこと、概ね受傷後1月以内の訴えがあり、耳鼻科に通院し治療を継続していること、経時的な聴力・耳鳴り検査で変動が少ないこと、発症機転となる頸部痛の訴えがあることの要件があれば、また、嗅覚障害については、T&Tオルファクトメータによる基準嗅力検査の認知域値の平均嗅力損失値により嗅覚脱出となれば、いずれも、12級13号に認定される可能性もあるとされます。
  • ➂頸椎症性神経根症は、腕や手指のしびれや痛みがあり、頸椎を後方へそらせると症状が増強し、X線で頸椎性変化を認め、MRIで骨棘による椎間孔(神経根が出ていく孔)の狭窄、神経根の圧迫が確認できた場合に、12級13号に認定されます。
  • ④脊髄損傷は、麻痺が存在し、MRIやX線で脊椎・脊髄の損傷部位が確認できた場合に、12級13号に認定されます。
  • ➄脳脊髄液減少症は、髄液量の減少を画像所見で確認できないため、12級13号に認定される可能性はほとんどないとされます。
  • ➅頸椎椎間板ヘルニアは、頸椎を後方へそらせると腕や手に痛み、しびれが生じ、手足の感覚や力が弱く、手足の腱反射テストで異常(腱をゴムハンマーで叩くと無意識のうちに反応する筋収縮を確認する検査で、反射低下の結果)を示し、MRIで神経根や脊髄の圧迫を確認できた場合に、12級13号に認定されます。

まとめ

むち打ちが後遺障害12級に認定されるケースの特徴は、12級13号に認定される症状が労災保険の認定基準に拠っていること、12級13号を準用して12級に認定される症状があること、病名によっては12級13号に認定されあるいは認定される可能性があること、ということになります。
むち打ちが12級13号に認定されるかどうかは、賠償額に大きな影響があります。むち打ちの等級認定が心配な方は、是非、当事務所にご相談ください。

無料相談申込みフォーム
事務所案内
弁護士法人コールグリーン 京都オフィス

京都市中京区烏丸通御池下る虎屋町577-2
太陽生命御池ビル2階

京都オフィスはこちら
弁護士法人コールグリーン 浜松オフィス

静岡県浜松市中区砂山町325-10
新日本ビルジング4階

浜松オフィスはこちら
トップページへ