交通事故の慰謝料の増額が考慮されるのはどのような事由がある場合なのか

慰謝料は、被害者に生じた精神的損害(苦痛)を塡補するもので、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料に分けて算定されます。

本来、慰謝料は、精神的損害の大きさによって決まるものですから、被害者が被った損害の内容・程度、過失行為の内容・程度、被害者の年齢、職業、収入、家族関係等一切の事情が考慮されることになります。

一般には、ある程度統一的に処理する必要性から、基準額が決められていて、それを基礎として算定されています。

では、交通事故の慰謝料の増額が考慮されるのはどのような事由がある場合なのでしょうか。

その慰謝料の増額が考慮されるのは、加害者に故意又は重大な過失があって、交通事故を起こした場合(被害者が死傷したこと)、加害者に著しく不誠実な態度があった場合、その他に慰謝料の増額事由として斟酌されることがある場合が考えられます。

以下においては、これらについて、順次、説明することとします。なお、下記の改正自動車運転死傷処罰法は令和2年7月2日施行、改正道路交通法は同年6月30日施行となっています。

加害者に故意又は重大な過失があった場合

加害者が、下記のように、故意に、故意に危険運転行為をし、あるいは重大な過失により、交通事故を起こした場合には、加害者が起こした事故態様が悪質なものとして、慰謝料の増額事由となります。

故意による場合

加害者が故意に交通事故を起こした場合には、慰謝料の増額事由となります。 

故意に危険運転行為をした場合

加害者が、改正自動車運転死傷処罰法2条の、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態での運転行為(1号)、制御困難な高速度での運転行為(2号)、制御技能なしでの運転行為(3号)、通行妨害目的で、危険な速度で割り込み又は接近する運転行為(4号)、通行妨害目的で、走行中の車の前に停車するなど著しく接近する運転行為(5号)、高速道路などで、通行妨害目的で、走行中の車の前に停車するなど著しく接近する運転により、走行中の車を停止徐行させる行為(6号)、危険な速度で赤信号を殊更に無視する運転行為(7号)、危険な速度で進行禁止道路を進行する運転行為(8号)、同法3条の、アルコールや薬物の影響で正常な運転に支障が生じる状態での運転(1項)、病気の影響で正常な運転に支障が生じる状態での運転(2項)など、故意に危険運転行為をし、交通事故を起こした場合には、慰謝料の増額事由となります。

重大な過失による場合

加害者が、酒酔い、無免許、信号無視、著しい速度違反による運転のほか、改正道路交通法による、①通行妨害目的で、交通の危険のおそれのある方法により、通行区分違反、急ブレーキ禁止違反、車間距離保持違反、進路変更禁止違反、追越し方法違反、減灯等義務違反、警音器使用制限違反、安全運転義務違反、高速道路での最低速度違反、高速道路での駐停車禁止違反となる行為(117条の2の2第11号イ~ヌ)、➁①により高速道路などで他の車を停止させるなど著しい交通の危険を生じさせる行為(117条の2第6号)をし、重大な過失により、交通事故を起こした場合には、慰謝料の増額事由となります。

なお、過積載(事故の発生と相当因果関係がある場合)や居眠り運転により、交通事故を起こした場合についても、増額事由とされる場合があるとされています。

加害者に著しく不誠実な態度があった場合

加害者の著しく不誠実な態度としては、加害者が、ひき逃げをして被害者の救護措置を講じなかったこと、事故の状況について故意に虚偽の主張をしたこと、証拠隠滅を図ったこと、何ら理由がないのに被害者に責任転嫁をし、自己の責任逃れに終始していること、被害者を侮辱したことが考えられ、これらについては、加害者の事故後の行動が極めて悪質と評価できる場合として、慰謝料の増額事由となります。

しかし、不誠実かどうの法的評価については微妙な問題もあるため、単に、被害者に対し謝罪、見舞いに行かなかったとか、賠償交渉を保険会社任せにしたというだけでは、「著しい」不誠実な態度とはいえないとする見解も有力に主張されています。 

その他に慰謝料の増額事由として斟酌されることがある場合

その他に慰謝料の増額事由として斟酌されることがある場合としては、①内定が取り消されたり、就職が遅れた場合、欠勤により勤務先を解雇され、あるいは退職せざるを得なかった場合、学校への入学が遅れたり、学生が出席日数不足で留年、あるいは退学した場合、入学試験や資格試験を断念した場合、傷害の程度が重く結果として離婚や破談となった場合など社会的不利益を被った場合(もっとも、これら①については、事故との相当因果関係が争われることも少なくありません)、➁被害者が事故に遭ったことに起因して近親者が精神疾患を発症した場合、➂唯一の子が死亡した場合、④被扶養者が多数である場合、➄醜状痕等の損害額の算定が不可能又は困難な損害の発生が認められる場合などが考えられます。

なお、逸失利益の算定が不可能又は困難な場合、将来の手術費の算定が不可能又は困難な場合に、慰謝料で斟酌した例もあります。

まとめ

加害者が起こした事故態様が悪質である場合には、それにより被害者あるいは遺族が受けた精神的苦痛は大きなものがあるため、慰謝料の増額事由となります。

そして、加害者に著しく不誠実な態度があった場合、その他に慰謝料の増額事由として斟酌されることがある場合についても、基本的に、慰謝料の増額事由となると考えられています。

ところが、不誠実かどうの法的評価については微妙な問題もあります。交通事故に遭い、慰謝料の請求について増額事由があるのではないかとお考えの方は、是非当事務所にご相談ください。

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