交通事故の賠償金として将来介護費を請求できるのか

交通事故で受傷した被害者に、介護を要する後遺障害が残存した場合、症状固定後も将来にわたる付添介護費(将来介護費)が発生します。
では、交通事故の賠償金として将来介護費を請求できるのでしょうか。
将来にわたる支出の蓋然性の認められる上記の将来介護費は、交通事故に起因する損害として、加害者に請求できます。
そして、将来介護費は、在宅介護か施設介護か、介護の内容がどのようなものか、近親者による介護(以下「近親者介護」といいます)か職業付添人による介護(以下「職業人介護」といいます)かによっても、その金額は大きく異なります。
以下においては、将来介護費、介護の必要性、将来介護費の算定において考慮される要素、将来介護費の算定、将来介護費の計算式などについて、説明することとします。

将来介護費

将来付添費とは、交通事故で受傷した被害者が、症状固定後も、残存した後遺障害のため、付添介護なしでは生活できない状況となった場合に、将来にわたる支出の蓋然性の認められる付添介護費のことをいいます。
しかも、将来介護費を損害として請求するためには、介護の必要性が認められなければなりません。

介護の必要性

将来にわたる介護の必要性は、被害者に残存した後遺障害の内容や程度、被害者が受けている日常生活上の不都合の度合い、更に医師の指示や被害者の年齢等を考慮して、判断されることになります。

要介護認定のある後遺障害の場合

後遺障害等級が、自賠法施行令の別表第1の1級(常時介護)及び2級(随時介護)の場合には、原則として介護の必要性が認められることになります。

要介護認定のない後遺障害の場合

裁判実務では、要介護認定のない後遺障害についても、介護の必要性は認められています。
例えば、日常生活において他者の看視が必要な場合、歩行・昇降や体位変換、排尿・排便、食事、衣服着脱、入浴といった日常生活上の支障が認められる場合などです。

将来介護費の算定において考慮される要素

一般に、施設介護よりも在宅介護の方が、近親者介護よりも職業人介護の方が、介護費額が高額となります。したがって、裁判所は、在宅介護前提で将来介護費を請求するには、在宅介護の蓋然性がなければならないとし、また、職業人介護の将来介護費を請求するには、職業人介護の蓋然性がなければならないとしています。
以下においては、裁判例に基づき、在宅介護の蓋然性の有無、職業人介護の蓋然性の有無について、検討することとします。

在宅介護の蓋然性の有無

在宅介護の蓋然性の有無に関しては、下記のような要素が考慮されます。

  • ①現在の生活場所や将来の展望(在宅介護中か、既に施設入所中か、将来的に施設入所予定があるか、入所中の施設が長期入所困難な施設か)
  • ②施設の性格(入所可能な最長期間が定められた施設か)
  • ③施設退所の時期や蓋然性(定められた入院期間が迫っているか、入院中の病院が、リハビリによる社会復帰あるいは在宅介護への移行をサポートしているか)
  • ④被害者の状況(症状固定までの在宅介護の実績があるか、また、その実績があれば、その間、患者の状態が安定していたか、生命の危険を推認させる事情がなかったか)
  • ⑤近親者の在宅介護の意向や計画の有無
  • ⑥被害者を受け入れる家庭の状況(近親者が働く必要がないか、近親者介護が難しい場合でも、職業人介護を受ければ在宅介護が可能か)
  • ⑦在宅介護に向けた準備の状況(自宅改造に着手しているか、また、着手していなくても自宅改造の計画があるか〔見積書、図面等〕)
  • ⑧在宅介護の可否に関する入所中の施設又は医師の判断等(在宅介護の可否に関する入所中の施設又は医師の判断はどうか、被害者の状況や家庭環境から、在宅介護が困難な状況はないか、在宅介護よりも、他の施設での介護の方が望ましくないか) 

そして、裁判例によれば、上記の要素を総合考慮した結果、施設からの退所が見込まれる場合で、在宅介護を前提とした将来的な介護計画がしっかりとしていれば、在宅介護が否定されるような事情(例えば、在宅介護が難しいという医師の判断がある場合など)がない限り、在宅介護の蓋然性があるものとされます。

職業人介護の蓋然性の有無

職業人介護の蓋然性の有無については、下記のような要素が考慮されます。

  • ①被害者の要介護状態(後遺障害の内容や程度はどうか、被害者の状態や生活状況はどうか、必要とされる介護の内容や程度はどうか)
  • ②現在に至るまでの介護態勢や介護者
  • ③同居する近親者の有無やその身体的能力(その年齢、体格、体調はどうか)
  • ④同居する近親者の就労状況(就労の有無、就労の意向、就労の実績はどうか)

そして、裁判例によれば、上記の要素を総合考慮した結果、近親者介護が身体的又は精神的に不可能ないし困難であるという事情や、将来にわたる家計の維持のために近親者が就労する必要があるといった事情があれば、職業人介護の蓋然性があるものとされます。

将来介護費の算定

下記の金額は、裁判例に基づくものです。

近親者介護の場合

常時介護(1級)の場合は、日額8000円が認められます(裁判(弁護士)基準)。
もっとも、体位変換も行えない遷延性意識障害や四肢麻痺の状態の被害者の介護において、近親者の年齢、体力等から介護の負担が特に重いと考えられる場合は、日額8000円以上が認められています。
一方、常時介護を必要としない場合には、介護の必要性の程度や内容によって減額されており、随時介護(2級)の場合は、日額6000円前後の認定となっています。
また、身体介護を要せず、看視、声掛けで足りる場合は、一般に身体介護よりも肉体的な負担が軽いことから、身体的介護が必要な場合よりも低額とされ、日額2000円程度となることもあります。

職業人介護の場合

原則実費全額が認められています(裁判(弁護士)基準)。
実際の裁判例では、日額1万2000円~2万4000円程度の認定となっています。

将来介護費の計算式

将来介護費は、一時金で受け取る場合、中間利息を控除して、下記のような計算式により算定します。
将来介護費の日額×365(日)×平均余命に対応するライプニッツ係数

まとめ

交通事故に遭い、不幸にも介護を要する後遺障害が残ってしまった場合、将来介護費は高額となる費目の一つとなります。将来介護費は、交通事故に起因する損害として、加害者に請求できます。しかし、将来介護費については、介護の必要性のほか、在宅介護か施設介護か、介護の内容がどのようなものか、近親者介護か職業人介護かを巡って争いになることも少なくないのです。将来介護費の問題に直面している方は、是非、当事務所にご相談ください。

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